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ベトナム旅行記 3

1月29日(木)
 
◆ さあ〜ハロン湾クルーズだよ〜ん!
                               
 9時ホテル発、船着場は大小数十隻の観光船で埋め尽くされている。
 われわれはその中の比較的小さな船(目勘定でざっと60人乗りくらいか)に乗り込む。客は日本人ばかり7人のみ、これで採算合うのかな?
 
 天気はうす雲がかかって、いまいちだ。 しかしガイドは「最高の天気だ」と言う。
「北部ベトナムの冬は、霧ともいえぬ、雲の中にいるかと思うほど湿った冷気と寒さがうんざりするほど長く続き、春が待ち遠しい」と書いてあった(朝日選書「ヴェトナム 歴史の旅」 小倉貞男)著)。いまの季節としては最高の天気だという意味らしい。
 
 船が港を出るとすぐ小船が寄ってきて、クルーズ船と平行してしばらく走りながら魚や珊瑚や果物を売りにくる。
 誰も買わないと見ると反転してまた別の観光船に向かって行く、たくましい生活力だ。
 
 2〜30分くらい走ったところで、岩壁に世界遺産登録のプレートを張った島に着く。ダウゴー島(天宮島)と言うそうだ、この島で鍾乳洞を見学する。
 広い洞窟の中に見事な鍾乳石や石筍がたくさんある、天井から織りなされる壁状のもの・くらげと名付けられた幻想的な石、自然の芸術としか呼びようのない鍾乳石群は見事だ。これまでいくつもの鍾乳洞を見てきたが、こんなに広い鍾乳洞ははじめてだ。鍾乳洞の中にぽっかりと天に向かって開いた穴があり、それが天国につながっていると信じられていたことから、ティエンクン(「天宮」の意)洞窟と呼ばれているそうだ。


    素晴らしい鍾乳洞だけどセンスの無いライトアップがいただけない!

 
ここはつい5年前に発見され、中国の資金で観光用に整備されたらしい。そのせいかどうかは知らないが、鍾乳洞の中はブルーやグリーンのド派手なライトアップで、中国風にけばけばしく装飾されているのがちょっといただけない。もっと自然らしさを強調したほうがいいのに!

   ワンダラーをせびるわるい習慣が始まっている。 ちょっと悲しいなあ!
 
 洞窟から出て船溜まり場に降りる途中にトイレがあり利用した。出てきたら、掃除をしているらしい男が小さな声で「ワンダラー」と言っている、入場料を払って入った施設内なので本来トイレット利用料は取らないはずである。わるい習慣が増幅しないよう、あえて無視した。

 船はさらに湾内を先へと進む。奇岩や島が墨絵のようにうす霧の中に浮かぶさまは、まさに水墨画の世界だ。海の桂林の名に恥じない景観である。奇岩にはイヌ島、ゾウ島、闘鶏島などと言った名前がつけられている。
 湾内で取れた魚を生簀で飼っているポンツーンにも寄って見学。
 
 船長の奥さんや手伝いの人たちが作ったベトナム料理とワインをいただきながらバイチャイ港に戻る。
 
 ランチメニューは、

  「魚の丸ごとから揚げ いかと野菜煮 揚げ春巻き ゆでた えび・シャコ・かに」

 ちなみにワインはカップで7ドルでちょっと高い。

 およそ3時間ほどの美しい風景を楽しむクルーズであった。


 ハロンとは、「龍が降り立つ」(「ハ=降りる」と「ロン=龍」)という意味で、昔、外敵の侵略に悩まされていたこの地に、龍の親子が降り立ち、敵を打ち負かし、1000の宝玉を落としていった。それがハロン湾に浮かぶ大小の奇岩になったという伝説から来ているそうだ。
 
 中国の侵略に苦しんでいた時代、空から舞い降りた龍が、火を吐いて中国船団を撃退し、龍の炎の舌が海に触れて、それが奇岩になったという伝説だ。
 ハノイの武将ゴ・クエンが、奇岩や島の点在するハロン湾で、中国の船団に挑んで全滅させたのが、938年。これをきっかけとして、1009年にハノイを首都とする李朝の成立となった。

 龍が舞い降りたという地名には、ヴェトナム人が、初めて自前の王朝を樹立したと言う誇らかな歴史が絡んでいるようだ。

ハロン湾クルーズ・コース図
通常のハロン湾クルーズ   (3-4h)
ジャンク船で巡る
  ハロン湾クルーズ(24h)
 ハロン湾クルーズには2種類あり、1つは船上のランチを含んではわずか3〜4時間のバイチャイの船着場から最も近いThien Cung(天宮)島のThien Long洞窟(鍾乳洞)を上陸見学し、そこから少し島々を廻って帰って来るというもの。

 もう1つは、ジャンク船に泊まるハロン湾クルーズで、丸1日約24時間ハロン湾に滞在できるため、定番コースでは行けない奥の方のSung Sot洞窟(鍾乳洞)を上陸見学、そことBo Hon島のLuon洞窟の中間地点で停泊し夜を明かす。2日目の午前中にLuon洞窟をくぐり、岩山に囲まれた神秘的な湖を見学。さらに同島の反対側に回り込んでTrinh Nu洞窟へ。そこから大きく島々を巡って帰るというコース。

左のハロン湾地図を見ていただければ一目瞭然だが、廻るエリアが全然違う。
奇峰のそそり立つ景観は、約3000もの島からなり1500平方kmのエーリアに及ぶと言う。
 私たちの見たのはほんの一部分と言うことだ。

 せっかちな日本人観光客はすべて3〜4時間コースを選ぶ、さらにハノイから日帰りという強行ツアーもあるらしい。

 


 
   ハロン湾のこの景観はどうやってできたの?
  
 ハロン湾の形成史についてちょっとひとくさり!

 数億年前、この地は海底にあり、生物の死骸がうずたかく積もって石灰岩が形成された。その後、海底が隆起して、石灰岩の山岳地帯となる。
  風雨にさらされたり、流水に浸食されたりして、柔らかい地質の部分が削られ、ある部分には鍾乳洞も形成され硬い岩の部分だけが浸食されずに残った。
 こうしてできた石灰岩の岩峰が屹立するいわゆるカルスト地形が、地球の最後の氷河期以降、海に没っしたもので、現在の3000ともいわれる数の島や奇岩となって、ハロン湾の特異な景観ををつくった。